「サンプラー種別」は、機械学習や強化学習において、データや経験をどのようにサンプリング(抽出)するかを決定するための方法や戦略を指します。具体的には、経験を保存したバッファからどのようにデータを選び出すかという部分が重要です。強化学習におけるサンプラーの種類によって、エージェントが経験バッファから学習に使うデータが異なり、学習効率や結果に影響を与えます。
強化学習におけるサンプラーの種類
以下のサンプラーの種類が一般的です。
1. ランダムサンプリング (Random Sampling)
- 概要: 経験バッファからランダムにデータを抽出します。最もシンプルな方法です。
- メリット: 偏りなく広くデータを取得することができ、さまざまな状況に対応した学習が可能です。
- デメリット: 重要な経験や頻度の少ない事象が学習されにくくなることがあります。
2. 優先度付き経験リプレイ (Prioritized Experience Replay)
- 概要: 経験の中で、エラー(TD誤差)が大きかったものに高い優先度を与え、より頻繁にサンプリングする手法です。
- メリット: より重要な経験を優先して学習できるため、効率的な学習が可能です。
- デメリット: 経験の偏りが発生しやすく、学習のバランスが崩れることもあります。
3. 逐次サンプリング (Sequential Sampling)
- 概要: 時間的な順序に従って経験をサンプリングする方法です。時間依存性の強いタスクで使われます。
- メリット: 時系列情報が保存されるため、連続した行動の影響を考慮した学習が可能です。
- デメリット: 特定の時期に偏ったデータしか得られない場合、学習の一般化が難しくなります。
4. ストラタムサンプリング (Stratified Sampling)
- 概要: データを特定の基準でグループ(ストラタ)に分け、その中からサンプルを抽出します。例えば、成功と失敗の両方のエピソードからバランスよくサンプリングすることができます。
- メリット: さまざまなシチュエーションに対してバランスの良い学習ができる。
- デメリット: 複雑なデータセットでは、ストラタの定義が難しいことがあります。
Unity ML-Agentsにおけるサンプラー
UnityのML-Agentsでは、リプレイバッファから経験をサンプリングする際に、上記のようなサンプリング戦略を選ぶことができます。これにより、エージェントの学習プロセスをより柔軟に制御できます。
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サンプラー種別は、学習に使うデータをどのように選ぶかという戦略を指します。どの方法を使うかによって、学習の効率や結果が異なってくるため、タスクに応じて適切なサンプラーを選ぶことが重要です。