MVP(Model-View-Presenter)とMVC(Model-View-Controller)は似た設計パターンですが、いくつか重要な違いがあります。どちらもアプリケーションの構造を整理し、保守性や再利用性を高めるための設計パターンですが、主にViewとPresenter/Controller間のやり取りに違いがあります。
MVPとMVCの違い
MVC (Model-View-Controller)
- Model: アプリケーションのデータやビジネスロジックを担当。
- View: ユーザーインターフェースの表示部分。Modelのデータを描画する役割を持つが、直接Modelにアクセスすることもある。
- Controller: ユーザー入力を受け取り、ModelやViewを更新する役割を持つ。
MVCでは、ViewがControllerにユーザーアクションを通知し、ControllerがModelを操作し、ViewがModelの状態を監視して自動的に更新されます。このため、ViewがModelに直接アクセスする場合もあり、Controllerはユーザー入力の管理やデータ処理の仲介役として機能します。
MVP (Model-View-Presenter)
- Model: アプリケーションのデータやビジネスロジックを担当(MVCと同様)。
- View: ユーザーインターフェースの表示部分。基本的にプレゼンター(Presenter)を介してModelのデータを更新し、表示も行います。Viewはデータの処理ロジックを持たない。
- Presenter: Viewからのイベント(ユーザー入力など)を受け取り、Modelを操作し、その結果をViewに反映する。
MVPでは、ViewがPresenterにのみ依存し、PresenterがModelとViewのやり取りをすべて制御します。ViewはPresenterの指示に従ってUIを更新し、Modelのデータを直接扱わず、Presenterがその橋渡しを行います。
主な違い
- ViewとModelの直接的なやり取り:
- MVC: ViewがModelを直接参照して更新することがある。
- MVP: ViewはPresenterを通じてModelにアクセスし、直接操作はしない。
- ControllerとPresenterの役割:
- MVCのController: ユーザー入力を受け、ModelやViewを更新するが、Modelの状態変化によってViewが自動的に反応することもある。
- MVPのPresenter: ViewとModelのやり取りをすべて制御し、ViewがPresenterの指示を受けて動作する。
- テストのしやすさ:
- MVC: ViewとControllerが密に結びついているため、テストが難しいことがある。
- MVP: ViewとPresenterが分離されているため、Presenterのテストが比較的容易。
使用例(簡単な例)
MVCの例
public class GameController : MonoBehaviour {
public GameModel model;
public GameView view;
void Start() {
model = new GameModel();
view = FindObjectOfType<GameView>();
}
void Update() {
if (Input.GetKeyDown(KeyCode.Space)) {
model.IncreaseScore();
view.UpdateScore(model.Score);
}
}
}
- Model: ゲームのスコアなどのデータを保持。
- View: スコアの表示部分。
- Controller: ユーザーの入力を処理し、ModelとViewの更新を管理。
MVPの例
public class GamePresenter {
private GameModel model;
private IGameView view;
public GamePresenter(IGameView view) {
this.view = view;
model = new GameModel();
}
public void OnScoreButtonPressed() {
model.IncreaseScore();
view.UpdateScore(model.Score);
}
}
- Model: ゲームのスコアなどのデータを保持(MVCと同様)。
- View: IGameViewインターフェースに従い、Presenterからの指示でUIを更新。
- Presenter: ユーザーの入力を処理し、ModelとViewの更新を管理。
結論
- MVC: ViewがModelと直接やり取りできる柔軟な設計。大規模アプリケーションでは、複雑化する可能性がある。
- MVP: ViewとModelが完全に分離されており、Presenterがすべてのやり取りを管理するため、テストや拡張がしやすい。
どちらもアプリケーションの整理に役立ちますが、使う場面や規模によって選択が異なることが多いです。
MVP(Model-View-Presenter)とMVC(Model-View-Controller)は、ソフトウェアの設計パターンであり、UIの構造と動作を整理するための異なるアプローチを提供します。以下に、それぞれのパターンの違いを図で示し、説明します。
MVC(Model-View-Controller)
MVC は、以下の3つのコンポーネントで構成されます:
- Model: アプリケーションのデータとビジネスロジックを管理します。データの状態を保持し、更新します。
- View: ユーザーインターフェースを表示します。モデルのデータをユーザーに表示し、ユーザーの入力を受け取ります。
- Controller: ユーザーの入力を処理し、モデルとビューを調整します。ユーザーアクションに応じてモデルを更新し、その変更をビューに反映させます。
graph TD
A[Model] -->|データ更新| B[View]
B -->|ユーザー入力| C[Controller]
C -->|モデル更新| A
C -->|ビュー更新| B
説明:
- Model はデータとビジネスロジックを管理し、View はそのデータを表示します。
- Controller はユーザーのアクションに応じて Model を更新し、View にその変更を反映させます。
MVP(Model-View-Presenter)
MVP は、以下の3つのコンポーネントで構成されます:
- Model: アプリケーションのデータとビジネスロジックを管理します。MVCのModelと同様です。
- View: ユーザーインターフェースを表示しますが、プレゼンターからの指示に基づいています。ユーザーの入力を直接プレゼンターに通知します。
- Presenter: ビジネスロジックとビューの間の仲介役です。ユーザーの入力を処理し、モデルを更新し、ビューに表示させる指示を出します。
graph TD
A[Model] -->|データ更新| C[Presenter]
C -->|ビュー更新| B[View]
B -->|ユーザー入力| C
説明:
- Model はデータとビジネスロジックを管理します。
- View はユーザーインターフェースを表示し、ユーザーの入力を Presenter に通知します。
- Presenter は Model と View の間で調整を行い、ビューの更新とユーザーの入力処理を担当します。
主な違い
- MVC: Controller はユーザーの入力を処理し、Model と View を直接操作します。View から Controller へ直接入力が伝わり、Controller が Model を更新し、結果を View に反映させます。
- MVP: Presenter が View と Model の仲介役を果たし、View からのユーザー入力を受け取り、Model を操作し、View の更新を指示します。View は Presenter を通じてのみ Model と通信します。
このように、MVC と MVP の違いは、ユーザーインターフェースとビジネスロジックの間でどのコンポーネントが調整役を果たすかにあります。MVC では Controller が直接モデルとビューを操作するのに対し、MVP では Presenter がその役割を担います。