UnityのUI Toolkitと従来のUI(UGUI)は、どちらもUIを作成するためのフレームワークですが、設計や使用方法において多くの違いがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. 基本的なアーキテクチャの違い
- UI ToolkitはHTML/CSSに影響を受けており、XMLベースのレイアウト(UXML)とスタイルシート(USS)でUIを構築します。CSSに似た構文を使ってUI要素をスタイル設定できるため、Web技術に馴染みがある開発者にとっては学びやすいアーキテクチャになっています。
- UGUI(従来のUI)は、UnityのゲームオブジェクトとしてUIを構築するアプローチで、Canvasを用いてUI要素を配置し、通常のUnityコンポーネントを利用してプロパティや挙動を設定します。
2. 描画方式とパフォーマンス
- UI Toolkitは、デフォルトで軽量なUI描画方式を採用しており、特にエディター内ツールや高パフォーマンスを求められるUIに適しています。DOMのようなレイアウトシステムで管理されるため、比較的軽量に動作します。
- UGUIは、Canvas全体をリフレッシュする必要があるため、複雑なレイアウトや頻繁な変更がある場合、描画コストが高くなりがちです。最適化は可能ですが、大規模なUIではパフォーマンスに注意が必要です。
3. スタイルとレイアウト
- UI Toolkitでは、USS(Unity Style Sheets)を使用してUIのスタイルを設定し、UXML(Unity XML)でレイアウト構成を定義します。USSではCSSに似たシンプルな構文でデザインができ、カスタマイズ性が高いです。
- UGUIでは、UIのスタイルは各要素に直接設定します。レイアウトも
RectTransform
やCanvas
で制御し、スタイルやレイアウト設定は直接コンポーネントごとに行います。
4. インタラクティブ性とイベント処理
- UI Toolkitは、VisualElement(UI要素の基本単位)を使ってUIイベントをリスンし、イベントバブリング(親要素にイベントを伝搬させる仕組み)をサポートしています。コードで柔軟にイベントハンドラを追加でき、従来よりも効率的にイベント管理が可能です。
- UGUIは
Button
やToggle
などにイベントリスナーを設定することで操作性を持たせます。イベントシステムはUGUI専用で、他のゲームオブジェクトと直接連携できるため、ゲーム全体のUIとしての汎用性が高いです。
5. エディターとインゲームUIの使い分け
- UI Toolkitはもともとエディター拡張用に開発されており、Unityのエディターウィンドウやインスペクターのカスタムツールに最適化されていますが、現在はインゲームUIとしても利用できるようになっています。
- UGUIは、インゲームUIの構築に特化しており、ゲームプレイ中のHUDやメニューの制作に適しています。
6. 拡張性
- UI Toolkitは、Webの標準的なUIフレームワークの構造を踏襲しており、WebベースのUIフローに近いデザインを目指すプロジェクトに適しています。データバインディングもサポートしており、コードとUIの連携がスムーズです。
- UGUIはUnityのシーンと密接に結びついているため、従来のUnityワークフローに沿った拡張が可能で、インゲームUIの豊富なライブラリや資産も利用できます。
まとめ
- UI Toolkitは、Web技術に基づいた構造で、軽量・高性能なUIを簡単に構築でき、エディター内ツールやインゲームUIの両方に対応していますが、やや新しい技術です。
- UGUIは、インゲームでの使用が前提の成熟したフレームワークで、特に従来のCanvasベースのアプローチを採用したUIプロジェクトに適しています。
プロジェクトの規模や必要なUIの種類に応じて、UI ToolkitとUGUIを使い分けることが推奨されるようです