Unityのレンダーパイプラインには、
- Standard(内蔵レンダーパイプライン)
- URP(Universal Render Pipeline)
- HDRP(High Definition Render Pipeline)
があります。それぞれのカメラプロパティには共通点もありますが、レンダリングやグラフィックの設定が異なるため、独自のプロパティも存在します。
以下、それぞれのカメラプロパティを解説しています。
Standard(内蔵)レンダーパイプラインのカメラプロパティ
Standard(内蔵)のレンダーパイプラインは、Unityの従来のレンダリングパイプラインです。シンプルで、プロジェクトを特定のパイプラインに依存させずに使用できる基本的なカメラ設定が含まれます。
主なプロパティ:
- Clear Flags(クリアフラグ)
- カメラがレンダリングする前に、どの部分をクリアするかを指定します(Color, Depth, Nothing, Skybox)。
- Background(背景色)
- Clear Flags が Color の場合、レンダリング範囲外の背景色を設定します。
- Culling Mask
- Projection(プロジェクション)
- カメラの投影モードを設定します。
- Perspective: 3Dカメラ。
- Orthographic: 平行投影で、2Dのようにレンダリング。
- Field of View(視野角)
- Clipping Planes(クリッピングプレーン)
- 近接および遠距離のクリッピング範囲(描画範囲)を指定します。
- Viewport Rect
- カメラが画面全体で占める範囲を設定します。例えば、マルチカメラビューを実現できます。
- Depth
- 複数のカメラを使う場合、この値が大きいカメラほど後にレンダリングされます。
- Rendering Path
- レンダリングの方法を指定します。
- Forward: シンプルなレンダリング。ライトが少ないときに効率的。
- Deferred: たくさんのライトを扱う場合に効率的。
- Target Texture
- カメラの出力先として特定のRenderTextureを使用するかどうかを指定します。
URP(Universal Render Pipeline)のカメラプロパティ
URPは、パフォーマンスを重視した軽量なレンダーパイプラインで、モバイルやミッドレンジのPC、コンソール向けに最適化されています。URPのカメラプロパティは、シンプルさと効率性にフォーカスしています。
主なプロパティ:
- Renderer Type(レンダラータイプ)
- 使用するレンダラー(Forward Renderer, Deferred Renderer)を指定します。
- Post-Processing
- カメラ単位でポストプロセシングのオンオフを設定します。ブルームやカラーグレーディングなどが対象です。
- Anti-Aliasing
- アンチエイリアシングを適用する方法(MSAA)を指定します。
- Volume Layer Mask
- URPのVolumeシステム(ポストプロセッシングやライト設定)を適用するレイヤーを指定します。
- Culling Mask
- Clear Flags(クリアフラグ)
- Standardと同じように、レンダリングする前に何をクリアするかを指定します。
- Background(背景色)
- クリアフラグがColorの場合に、カメラの背景色を指定します。
- Projection(プロジェクション)
- カメラの投影モード(PerspectiveまたはOrthographic)を設定します。
- Field of View(視野角)
- Clipping Planes
- Depth
- Camera Stacking(カメラスタッキング)
- 複数のカメラを重ねて描画する際に使用されます。例えば、UIやエフェクトなどの重ね描画に便利です。
HDRP(High Definition Render Pipeline)のカメラプロパティ
HDRPは、高品質なグラフィックスを実現するためのレンダーパイプラインで、特に高性能PCやコンソール向けに設計されています。HDRPのカメラには、物理的なカメラモデルや高度なポストプロセシング設定が用意されています。
主なプロパティ:
- Clear Flags(クリアフラグ)
- Culling Mask
- Field of View(視野角)
- Clipping Planes
- Depth
- Physical Camera(物理カメラ)
- 物理的なカメラモデルを再現します。焦点距離、フィルムサイズ、アパーチャ(絞り)、シャッタースピード、被写界深度(DOF)など、現実のカメラの設定をシミュレートできます。シネマティックな表現に適しています。
- Exposure(露出設定)
- カメラの露出を自動または手動で調整し、シーンの明るさに基づいて露出設定を行います。
- Post-Processing
- HDRPは高度なポストプロセシング設定を持っています。ブルーム、モーションブラー、アンビエントオクルージョン、被写界深度、色収差、トーンマッピングなどが含まれます。
- Volumetric Fog(ボリュームフォグ)
- フォグやゴッドレイなど、ボリュームエフェクトの設定が可能です。
- Custom Frame Settings
- カメラごとにレンダリングの詳細設定を行えます。これにより、ライトやシャドウ、反射、フォグのオンオフを細かく制御できます。
- Depth of Field(被写界深度)
- フォーカスの設定に基づいて背景をぼかす効果を制御します。
- Motion Blur(モーションブラー)
- Chromatic Aberration(色収差)
- レンズエフェクトとして、色収差をシミュレートします。
まとめ
- Standard(内蔵)レンダーパイプライン は、基本的でシンプルなカメラ設定を提供します。
- URP(Universal Render Pipeline) は、パフォーマンスに優れた軽量なプロパティが多く、モバイル向けなどで使いやすいカメラスタッキングや簡易的なポストプロセシングをサポートします。
- HDRP(High Definition Render Pipeline) は、高品質なシネマティック表現のために、物理カメラ設定や高度なポストプロセシングエフェクトなど、豊富で精密なプロパティを提供します。
プロジェクトの目標に合わせて、どのパイプラインを使用するか選択し、それぞれのカメラ設定を使いこなすことが重要です。