描画の仕組みを理解するには、まず基本的なコンピュータグラフィックスの流れとGPU(グラフィックス処理ユニット)について知る必要があります。ここでは、GPUの役割と、CPUとGPUがどのように協力してゲームやアプリケーションのグラフィックスを描画しているのかについて説明します。
GPU(Graphics Processing Unit) は、コンピュータの中でグラフィックス処理を専門的に担当するハードウェアです。特に、3Dグラフィックスの描画や、大量のデータを並列に処理するタスクに優れています。元々は2D・3Dグラフィックスの描画を高速化するために作られたもので、現在ではゲームやVR、機械学習などにも利用されています。
CPU(中央処理装置)はあらゆる処理を行う汎用的なプロセッサですが、GPUは特に並列処理に特化しており、膨大な量のデータを同時に処理することが得意です。グラフィックス処理には、大量のピクセルや頂点を扱うため、この並列処理が非常に有効です。
具体的に、GPUは以下のようなタスクを処理します:
グラフィックス描画はパイプラインという一連の処理の流れで行われます。このパイプラインを経由して、モデル(メッシュ)やテクスチャなどがGPUに送られ、画面に表示されます。
描画のプロセスは、まずCPUから始まります。ゲームやアプリケーション内で、何を描画するか(3Dモデル、テクスチャ、シーン全体の情報など)を計算し、これをGPUに命令として送信します。ここで重要なのが、先ほど触れたバッチやドローコール(Draw Call)です。
GPUはまず、頂点シェーダーを使って3Dオブジェクトの頂点(3D空間の座標情報)を処理します。頂点シェーダーは、オブジェクトがどこに存在し、どのように表示されるべきかを計算します。
このプロセスでは、モデルの位置、回転、スケールの変換や、カメラの位置による見え方(視野の設定)などが行われます。最終的に、3D座標から2Dスクリーン空間に変換されます(プロジェクション変換)。
次に、頂点からなる三角形をラスタライズします。ラスタライズとは、頂点シェーダーで計算された3Dモデルの情報を、画面上のピクセルに変換するプロセスです。
ピクセルシェーダー(フラグメントシェーダーとも呼ばれる)は、ラスタライズされたピクセルごとの色やテクスチャの情報を計算します。テクスチャの適用や光と影、反射などの視覚効果はこの段階で計算されます。
最終的に、各ピクセルの色やライティング効果が計算された後、それを画面に表示するためのフレームバッファに書き込まれます。ここで、すべての描画データが一つの画像として統合され、ディスプレイに表示されます。
GPUは描画処理を非常に効率的に行うため、ゲームや3Dアプリケーションにおいて不可欠な存在です。CPUが指示を出し、GPUがそれに従って膨大な計算を並列処理することで、リアルタイムで美しいグラフィックスが描画される仕組みです。